ざんくらにっき

ざんくらにっき

にっき。   @zahnradpoke

「まーだーみすてりーであそんで」 3ねん2くみ くるはくる

 

怖いな、と思った。心の底から思った。

人生で初めてプレイした、クリア不可能なゲームだった。

 

 

はじめに

 本記事はマーダーミステリー「宇宙船ニル・ノート号の残響」というシナリオのプレイ感想記録になります。真面目な感想記事です。タイトルはふざけました。誠に申し訳ありませんでした。そういう気分だったんです。そういうこともある。

 筆者はマーダーミステリーというコンテンツ自体に初めて触れたため、ジャンルに対する間違った認識を持っているかもしれません。寛大な心を持ったあなたならきっと許してくれることでしょう。さすがです。ありがとうございます。

 また、シナリオの根幹にかかわる重大なネタバレを含みますので、そのあたりはうまくかわしてください。はい。

 

 

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まず、前提知識として

 マーダーミステリーは数人で遊ぶTRPGであり、「参加者全員が推理小説の登場人物に扮し、発生した殺人事件(あるいはそれに類する事件)の原因を解明していく」というゲームです。参加者は全員が探偵となり、容疑者となり、そして犯人であり得る。そういうゲームだと解釈しています。

 

 今回プレイしたシナリオは「宇宙船ニル・ノート号の残響」。ざっくり言うと「宇宙船内という閉鎖空間で研究をする5人の研究者。うち一人が首吊り自殺をしてしまう。これは自殺か?それとも...?」というお話です。

 

さて、今回のセッションでは

 久留葉は植物研究者「ミツヤ」として参加しました。

 ミツヤは本シナリオでの犯人役です。研究同僚であり、ミツヤの片思い相手であった昆虫食研究者スーを殺害し、自殺に見せかけようと偽装工作を行ったその本人

 

 作中では如何に犯人であることを秘匿し、「ミツヤの望む結末を迎えるにはどうすべきか」を考え続けました

 衝動的にスーを殺害してしまったミツヤは「宇宙船の仲間たちが好き」で「自分がスーを殺したことを知られると、みんなと一緒にいられなくなる」から「犯人だとバレたくない」と考える。つまり、安直にほかの研究員に罪を擦り付けることが正解にはならない

 最終的には「スーが自殺したことにする」が終着点かなぁ、と思いました。それが僕のミツヤに対する回答で、僕のミツヤに対する解釈でした。後付けですが、そもそもミツヤはスー殺害後、死体を「自殺に見せかける」工作をしています。これも「誰かに罪を着せたくなかった」ことの表れ、かなぁと。

 そんなわけで、正しく「スーは自殺だった」というエンドを目指して立ち回ります。

 

 今回のセッションでは説得も空しく、ミツヤが犯人である、ということを他PLに見破られ、ED1での幕引きとなりました。アインス役ひとさじさんの立ち回りの上手さと、ニコ役Aiboshiさんのスキのなさが本当に強かったです。くやしい。とてもくやしい。おのれ。つぎは勝ちます。このゲームにおいて勝つって何だろう。わかりませんが。

 ともかく。

 ミツヤはスーを殺めた罪に苛まれ、船外に飛び出し、スーの後を追いました。

 

マーダーミステリーの恐ろしさ、あるいは本題。

 ここからは「宇宙船ニル・ノート号の残響」に限った話かもしれませんし、マーダーミステリー全体の話かもしれません。しょしんしゃなのでわからぬ。すまぬ。

 

 さて。

 

 久留葉はプレイ中、ミツヤにとっての真エンディングを目指して立ち回ります。どうすればミツヤにとってのハッピーエンドが訪れるのか、考えます。

 結論、本シナリオには犯人役、ミツヤにとってのまともなハッピーエンドは用意されていませんでした。ミツヤはこのシナリオにとって「犯人」であり、ミツヤにとってのハッピーエンドは、みんなにとってのバッドエンドです。犯人が報われるようなエンディングは、物語としては無くて当然です。

 どれだけ頑張っても報われる未来はありません。強いていうならED.5はミツヤにとっては幸せなのかもしれませんが...。久留葉がどれだけ上手く立ち回っても、ミツヤが客観視点幸せなエンディングはあり得ない世界線でした

 

 これが物語の倒されるべき悪になる、ということなのか...と

 

 なんやかんや、どんな難しいゲームでもいつかは真エンドを迎えられるものです。主人公たちは困難を乗り越え、レベルアップし、強大な敵を倒します。どれだけ途中で挫けようと、最終的にはゴールにたどり着けるでしょう。

 しかし、マーダーミステリーにおいて、主人公は犯人ではありません。主人公は、探偵です。犯人役の参加者は、主人公サイドとは全く逆の立場で物語に参加します。

 犯人には、目指すべきゴールは最初からありません。もしかしたら、それがあるシナリオもあるのかもしれませんが...

 理想エンディングの無い物語を進んでいた世界、答えの無い問題を解いていた世界。初めての経験でした。こわ~....。

 

もうひとつ、こわいことがあった。

 さて、本シナリオで久留葉が演じたミツヤ君ですが、客観的に見れば最低最悪の人間です。勝手にスーに好意を持ち、よくわからないタイミングで告白し、拒絶されたからと感情的に暴走してスーを殺害。挙句の果てには偽装工作まで行う。EDによってはその心の壊れっぷりをこれでもかと発揮します。

 もしかしたら筆者の解釈が足りていないだけかもしれない、という一抹の不安はありますが、多少の解釈齟齬があったとしても、話全体の行動から最低限人間味のあるドメンヘラであることに疑いの余地はない。と思います。たぶん。

 もし例えば、このニルノート号の事件が現実に発生し、朝のニュースで目にしたら「この犯人さすがにどうかしてるだろ...」と思い、ミツヤの自決に安堵を抱くことでしょう。

 

 しかし、ミツヤとしてセッションに参加した僕はそうは思えなかった。およそ2時間の間、ミツヤにとっての正解を探し続け、自分の出来る精いっぱいの能力でミツヤの明るい未来を望み続けた僕は、セッションが終わってもしばらく、どうすればミツヤにとっての「救いのある物語」が存在し得たかをずっと考えて続けました。少なくとも僕にとって、ミツヤというキャラクターに愛すべき要素はないはずのに、悲惨な最期を迎えて当然であると考える人物であるはずなのに、です。

 このあたりは解釈。ひとによっては「ミツヤ」という人格を肯定する人もいると思いますし、話自体は恋愛関係のいざこざであるので、その行動が理解できる人もいるかもしれません。わかりませんが...

 少なくとも僕にはミツヤの人格は理解できなかった。全く理解できないはずのミツヤという人物の、ハッピーエンドを必死に追い求めていたんです。セッションが終わった後もしばらく。なんなら今日の仕事中半分くらいはミツヤのことを考えてました。ミツヤ、どうにか幸せになってくれ...て

 

 いわゆる没入感、ですね。「キャラクターとして」「物語に参加する」という行為の恐ろしさ。それが良さであり、たのしさなんだなと身をもって実感しています。今迄になかった経験。

 没入感のこわさ。自分じゃないものを、客観視できなくなる怖さ。第三者を一人称視点に置くこわさ。

 これらはまるごと、マーダーミステリーでしか味わえない、コンテンツの強さなんだろうなぁと思いました。まる。

 

 

おわりに

 いっぱいもじをかいたのでつかれました。このあたりでほどほどにしておわります。たのしかったです

 まーだーみすてりーは、つぎもあるみたいなので、たのしみたいとおもいます。

 ここまでよんでいただいてありがとうございました。あなたはとてもすてきなひとだとおもいます。

 

 さいごに かねもと いっぱいじゅんびしてくれてありがとう

 あいぼしさん ひとさじさん いっしょにあそべてたのしかったです

 くるはでした。おつかれさまでした。

 

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 さんねんにくみ くるはくる